レンゲショウマ
今回のテーマは肖像画。
植物、毛並みや羽根ふさふさの動物、ときていよいよ人間を刺繍します。顔の表現、難しそうです。
タイトルは『レンゲショウマ』、モデルは2歳前くらいの息子です。
今は成人してすっかり別人のようですが、私の寝室のチェストの上に、歩き出したくらいの彼の写真が飾ってあります。
屈託のない無邪気な笑顔で車の窓から体を乗り出しています。お正月に帰省した時のものなのかダウンジャケットを着ています。
この写真の息子が大好きで、いつか刺繍してみたいと思っていました。
でも、男の子って、衣装が少しつまらないのです。女の子なら七五三の晴れ着など着た姿なら華やかで可愛いのに、と思っていました。同じ七五三の晴れ着でも、袴姿って、少し地味だなあなんて。
そんな時、大リーガーの大谷選手(今は大変そうですね(>人<;)のカブトセレブレーションを見て、これだ!と閃きました。
まるで生きた五月人形のように、鎧兜着せたら男の子だって綺麗で可愛い♡と思って、デザインしてみました。
兜正面にはとんぼの前立て。
とんぼは可愛らしい上に勝ち虫、子供の兜には相応しく思われます。
そして(吹き返し)と呼ばれるとんぼの両脇の一対の部分にはおめでたいことの前兆として現れるという雲、瑞雲を刺繍します。この模様は(鳩尾の板)という左胸に下がっている部分にもあしらいました。この部分の中の(据金物)という丸い部分は日の出を表現しました。兜上部全体で大空を表現しています。
左腕を覆う(籠手)にはやはりとんぼ。右袖は着物で模様は再生と厄除けを意味する鱗模様です。
右手の花を包んでいるのは松葉模様の布。こちらは強い生命力をあらわし、また必ず2本で一つなので、縁結びも象徴するという吉祥模様です。
今一度繰り返しになりますが(>人<;)
肖像画のタイトルは『レンゲショウマ』です。
手に一輪、矢の代わりにレンゲショウマの花を持たせています。
この写真はインスタのxianggang4566さんからお借りしました。
清楚で美しい花です。花言葉は『伝統美』
以前からずっとずっと気になっている花です。
なぜかって?
鎧兜装束の文様として、古典柄の瑞雲、とんぼ、鱗、松葉などをたくさん入れるデザインのため、伝統美に則っている日本刺繍にうってつけなのはもちろんですが、実は息子の名前が『ショウマ』なのです。
(*´ー`*)
肖像権のシンガイ!
なんて息子に言われながら取り掛かります♡
日本刺繍作家:石原 英(Hanabusa Ishihara)