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袋帯『duet』デザイン決定

新作の袋帯のデザインがやっとやっと決まりました。

袋帯『duet』です。モチーフは枝垂れ紅梅と白孔雀です。

何といってもデザインが出来を左右するので何度も何度も描き直し、やっと師匠の沖文先生からお太鼓部分のOKをいただきました。

今回は白孔雀の羽根を表現するため、垂れ部分(お太鼓の下にちょこっと出ているところです)にも刺繍するのですが、お太鼓と絵合わせをしなければならないのでそちらは一旦保留です。

最初に書いた没デザインがこちらです。

これについては、平面の刺繍ではなく、立体のお太鼓にした時に孔雀の顔あたりが寂しい、もう少し紅梅を垂らした方が良い、となりました。

そして、白孔雀ですが、孔雀ということでわかりやすく目のような模様を羽根に入れていますが、なんだか目が目立ちすぎるように感じました。紅梅とのバランスが悪いような……。

実際刺繍していけば白いレースのような羽根に紛れてそんなに気にならないかもしれませんが。でも、古典的で少しありきたりかも…….。

そこでもう一度色々な白孔雀を調べて見ました。私は横浜の野毛山動物園で一度見たことがあります。その時羽根は閉じていましたが。

羽根の目が普通の孔雀のように丸いものもいることはいるのですが、どうやらそれは少数派のようです。もともと色のついた孔雀の変形種だそうで、羽根の目はこの写真(web版中日新聞からお借りしました)のようにさっぱりしている個体が多いようです。中には両方混ざるものも。さらに一番端っこの羽の先は三日月のような形です。孔雀の羽の固定観念とはずいぶん違うようです。

だったら!と、紅梅とバランスが良いように、羽根の目は両方の形を混ぜることにしました。この方が軽やかでモダンに感じられます。

図案は細かく描きこんでも布に写りにくいし、消えやすいので細部は描き込まず、羽根の骨組みだけ描いて刺す時に細かい羽根を刺し加えることにしました。

この2枚のデザイン画の間にも何回も書いています。前回の袋帯『奏でる』もそうでした。

サンローランは30回も仮縫いをした、ということですから、私が何度も描き直すのは当然ですね。

今回のテーマはduet、二重奏です。

TVでイタリアの街歩き番組を見ていたら、イタリアとスイスにまたがる観光地、マッジョーレ湖が出てきました。そこにいる白孔雀に会えると幸せになるそうです。

そして、” 神の使い ”や” 天女 ”などと呼ばれ古来より日本でも邪気を払ってくれる縁起の良い生き物とされ、屏風や着物の柄に多く描かれてきたそうです。

白孔雀はどうやら洋の東西を問わずラッキーモチーフのようです。

そして、また神々しいまでに美しく咲き誇っている枝垂れ紅梅を見て、是非白孔雀とジョイントさせたいと思いました。

この帯は”銀通し”という生地で、紺地にきらきらと美しい小さな銀が覗いています。孔雀の白と紅梅の赤はきっとこの紺地の生地に映えて美しいでしょう。紅梅は見る人の心に迫り、白い羽根はレースのように素敵でしょう。

そういった意味のduetでもありますが、実は私なりに、なぜか2局化しつつある世の中へのささやかなメッセージも込めています。

無理に理解し合えなくても良い、duetしていきましょう、って。

日本刺繍作家 : 石原英 (Hanabusa Ishihara)

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