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顔の刺繍と私の覚悟

また姪ちゃんの刺繍、お顔がなんとか刺せました。まだ少し調整は必要ですが。

写真にすると、絹糸の光具合が難しくてなかなか目で見ているようには撮れませんが..........。

それでもなんとか雰囲気は出せたとホッとしています。この子が皆さんに話しかけてくれると嬉しいです。

ここまで来るのに随分試行錯誤しました。今回の刺繍の中の一番の山場ですもの。

こうやって肉入れの上から静かに一定方向に刺し縫いをしていきました。絹糸の艶を損なわないため静かに、そして針目をできるだけ見せないように心して刺す方向を時々工夫しながら刺していきます。だって、小さな女の子のお肌ですから。おでこはおろす前髪でほぼ隠れてしまうので、そこは少し気が楽です。

実は下絵ではお顔はほぼパーツのアウトラインのみでした。陰影は肉入れの段と多少の色の違いでつけていきます。なので、やはり写真を見つめながらの真剣作業です。

とりあえず、皮膚は埋まりました。でも、まだまだまだまだ!

瞳も下縫い段階です。

ここから目、唇、さらに肌もバランスをとるため手直しが必要になることが必至でした。

目は、また姪ちゃんのチャームポイントです。イキイキしたおめめにしてあげなくちゃ。

お口は中が見えるオープンマウス。子供のオープンマウスって大好きですが、かわいいだけでなく、上品に仕上げたい、と七顛八倒しました。

あまりに繊細な工程でしたので、写真を撮る余裕もありませんでした。

そして、頑張って肉入れしましたが途中で糸が上に渡るとわからなくなる箇所などがあり、そんな時の対処法を発掘(!)しながらの作業でした。なんでもやってみなければわからないことがあります。そして、学べることの多さにびっくりしました。

怖がるのではなく、とにかくやってみることって本当に大事です。

本当にできるかな、と疑心暗鬼になったりもしますが、なんとか形になっていきます。

京都の長艸工房にお邪魔した時に長艸純恵先生が、『なんだってやっていいのよ。ダメってことはないの、美しければ』とおっしゃいました。美しければ、のお言葉に力がありました。

私の刺繍は純粋な日本刺繍から少し外れているかもしれません。

そして、時代の要求からも多少ズレていることも感じています。でもね、美しいと信じたものをやり切ろうと覚悟をしています。

さあ、これから髪の毛と髪飾りのいちごに取り掛かります。ストレートの髪の毛をどんな技法で形にしようかと明治時代の刺繍本など見ながら作戦を練っています。あんまりそればかり考えているので、なんだか夢に出てきそうです (^○^)/

日本刺繍作家:石原 英(Hanabusa Ishihara)

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