袋帯『duet』お太鼓完成
とうとうduetのお太鼓が刺し終わりました。
長かった〜〜〜!!
シンプルなデザインなのですぐ刺し上がるかと思っていたのですが、ないないない。
羽根のエアリー感を出すためかなりの針数となりました。今回ほどカコクに感じた作品は今までありません!羽毛に使用したのは4〜5スガの糸なので、刺せども刺せどもなかなか進まず、、いったいいつ終わるの〜と半泣き状態でした。
それでも出来上がってみれば美しく、羽根はふわふわと優雅です(^ ^)
垂れ紅梅は実は三重県の鈴鹿の森庭園のものをイメージしています。風に揺らぐ表現を心がけています。
私が最も心がけている、作品の中に『風を吹かせる』ということ。
日本刺繍というのは、私は素晴らしい伝統に則った美しい古典柄を中心に据えた完成された文様の刺繍だと考えています。『有職故実』が根底に、太い幹としてしっかり感じられる精緻な刺繍です。
それは犯しがたい完全美です。が、私はすこうし外れてみたいのかもしれません。
生意気ですが、『まあ綺麗!』というより、見ただけで何か心がザワザワしてくるような.........そんな表現ができないものかといつも考えています。
もちろん私が知らないだけで、すでにそういった表現をされた方がいらっしゃったのかもしれませんが。
さて、この作品に関してはまだお太鼓が刺し上がっただけです。
お太鼓の性格上、帯を絞めれば柄が半分は隠れてしまうので”垂れ”として羽根の下半分をまたお太鼓同様に刺さなければなりません。帯前もやはり刺さなければなりません。まだまだ時間がかなりかかります。
けれど、この作品は一旦お休みにして次回作に取り掛かります。11月の個展のための調整です。
以前の猫や琵琶の帯を直接見てくださった方が、『画像より実物の方が断然素敵!』といってくださったので、この『duet』も実際見ていただければ本当に嬉しいです。
次回作は額装のための肖像画を予定しています。気持ちを入れ替えてまたがんばります。
日本刺繍作家:石原 英(Hanabusa Ishihara)