いちごlovery
前回のブログではお顔の完成まででした。
やっぱり一番大切で大変なのはお顔。ここをやり過ごせば後は楽勝よ!とまでは思っていませんでしたが、少し気が大きくなっていました。
けれどけれど、髪の毛の表現、難し〜ということに気づきました (°▽°)
毛足の長いモフモフ動物は経験済みですがサラサラストレートの人間の前髪、今まで刺したことがありません。あらら、どのテクニックで刺せば良いのかしら。子供の髪だから重くしたくないし、と3日間くらい刺す技法に悩みました。
色々な資料を見ても、あまりリアルに人間を刺している物って少ないのです。
それでもやるしかない!と腹を括って下ごしらえに髪の色に近い色で肉入れをして、髪の毛は一本一本角度をつけないまつり縫いで。糸は5スガの釜糸4色を混ぜながら。
あ、いいんじゃない!
やっぱり、試行錯誤すると答えって導き出せるものですね。
針を入れる方向、出す方向であく針穴の大きさが違ってきます。針はもちろん最細のもの、と心を砕きます。○○ちゃん、これでいいよね。(○○ちゃんは小さなモデルの彼女)
それにしても、本当に刺繍って永遠の片思いだなぁと感じます。近づけた、と思えばまた新たな課題を出されてしまう。少し苦しかったりするけど、やっぱり嬉しい、愛しい。そしてそんなふうに自分の時間を過ごせる幸せ♡
ものづくりするひとは皆さんそうお感じかもしれません。

さあ、だんだん仕上がってきた。髪の毛に天使の輪を刺して............♡

かわいい〜〜〜♡
さらに髪飾りのいちごやお着物に色を入れていくと.........。

lovely!
何度も言っちゃいますがかわいい〜!
刺繍していると、スティービーワンダーの『Isn`t She Lovely』の曲が頭の中で繰り返し流れます。イヤーワームってことでしょうか?
色が入ると生きている子供のように思えてきて、かわいい〜っと感情移入してしまいます。
小さな女の子の七五三ですから、お着物も本当にラブリー。
最初は水色の着物を着せるつもりでしたが、色々なバランスを考え、薄いピンク地に。(この色は元々まためいちゃんが来ていた色です)被布の色も合わせせて少し濃いめのピンクで、と刺していたらなんだか彼女そのものがいちごのように見えてきました。
ラブリーないちごちゃん。
タイトルを『いちごlovely』に変更することにしました。
画像の中のお着物の上にかかる糸はこれからする切り押さえという手法のためのガイドです。
長く渡した糸が浮かないようにしたり、明暗を表現するため色を変えた部分などをスムーズにぼかすためのテクニックです。胸から上まで刺して色を決定し、下半身や袖に展開していきます。着物の模様は地色を全て乗せてからその上にまた刺していきます。
実はモデルの彼女とは一度しか会ったことがありません。動画はよく祖母である義妹から送られてくるのですが。
とにかく元気で可愛らしい子なので、刺しながら私もついニコニコしてしまいます。
『Isn`t She Lovely』はスティービーの娘さんのアイシャの誕生を祝って書かれた曲だそうですが、甥っ子もまためいちゃんをこんなふうに想っているのだろうなあと思いました。
付け足しですが、私の父も私が生まれた時『かわいいだろ?』と頼まれもしないのに私の写真を見せて自慢していたそうです(^ ^)
日本刺繍作家:石原 英(Hanabusa Ishihara)